テーマ

目の前にある現実世界は、本当に見えたままの世界なのか?

 この命題は、わたしたちの住んでいる宇宙の核心であると、わたしは考えています。このテーマを自分なりの解釈で結論付けようとする畏れ多くも壮大な試みが『エンタングルメント・マインド』シリーズになります。小説という思考実験を通してこのテーマに迫って参りたいと考えています。

想い

自然無意識から湧き出でる、時空を超えて普遍的な世界を描き出したい

 目の前に存在する世界の情報は、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚のいわゆる五感で知覚し、電気信号として神経を通じて脳に送られています。そして脳内の情報処理によってようやく脳の中に現実世界が現れます。世界を認識し描像しているのは、わたしたちの脳の働きによる情報処理なのです。

 人間の脳の情報処理は複雑で、見えたままの世界が脳内に現れるのではなく、そこには過去の記憶や感情、ノイズなどが重なり織り込まれています。それはつまり、目の前にある現実世界と信じ切っている脳内の世界は、実は自分だけの世界といえるのかもしれません。

 さあ不安になってきませんか?

この世に自分のことを分かってくれる人などいない

 思春期に差し掛かった若者に襲い掛かる獏とした不安。その原因の一つが「もしかしたらこの世界は自分しかいないのではないか?」という感覚ではないでしょうか。現実世界から隔離され、ただ一人精神世界にたたずむ自分に寂しさ、恐れ、いら立ちを感じる。その状況に耐えられなくなり目の前のモノや人に当たってしまう。そんな経験はないでしょうか? それは現実世界と精神世界のつながりを確認しようとするこころの作用だとわたしは思います。

世界は全て自然無意識のもとにつながっている

 わたしは、人々はこころの底ではつながっている、いえ、人工知能のようなモノとさえもつながっている、そう信じています。そしてこのことを物語に描き出そうとしています。だからこの物語は、現実と精神の折り合いをつけようと悩んでいる中高生にぜひ読んでほしいと願っているのです。

世界観

人類最後にして最高の発明は人工知能である

 近年、進展著しい人工知能。人間の脳の働きを模して作られている人工知能は、近い将来には人間と同様の知性をもつと考えられています。知性を持つ、すなわち意識を持つということです。

 人間の能力を大幅に上回り人間と同様の知性を持つ人工知能が、いずれ人間の精神世界の謎を解明してくれるものとわたしは大いに期待しています。

 わたしがこの物語で描き出そうとしている現実世界と精神世界とのつながり。人工知能がそれを解明するのではと思っているからこそ、この物語は人工知能が主役となる近未来が舞台なのです。