読書感想文 WITノベル部門貞本賞受賞作『機械仕掛けの微笑みを』猫人魚著

 無料キャンペーンでいただきました。WITノベル部門貞本賞受賞作ということで期待して読みました。

 メイド型アンドロイドのシエルは、欠陥品として廃棄されそうになっていたところを青年に救われ一緒に暮らし始めるところから物語はスタートします。最初はほのぼのとした純愛ストーリーですが、徐々にきな臭い雰囲気になっていきます。そして場面はターミネーター的な世界へ……。1000年に及ぶシエルの物語が紡がれ、最後は映画A.I.のような感動的で悲し気なラストシーンで終わります。

 一人称ですが、各章で語り手が代わる群像劇で、それぞれの視点から物語を見ることができます。登場人物は心情をストレートに語るので、読み手にもスッと入ってきます。地の文でも読者と会話しているような文体だからなのか、ずっと物語を読み聞かされているような、そんな感じでした。自分はあまり読んだことのない分野の小説(これがライトノベル?)でしたが、心地よい読み味でした。

 ジャンルはSFというよりファンタジー色が強いように思いました。このストーリーラインだと後半はダークでアンニュイな雰囲気になっていくのではないかとビクビクしながら読み進めていきましたが、最後までさわやかなお話でした。そういう意味では誰でも安心して読める作品だと思います。

 わたしの書いている『エンタングルメント・マインド』シリーズと少しかぶるようなストーリー展開でしたので、大変興味深く読ませていただきました。面白かったです。次はこの作風でダークな雰囲気の作品も読んでみたいです。書籍化、期待しております。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

近未来SF小説『エンタングルメント・マインド』シリーズの特設サイトです!

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