SFの自然科学的な裏付け
『エンタングルメント・マインド』シリーズを構想し始めたのは2015年、ですから4年前になります。書きたいテーマは人間の夢の世界、すなわち精神世界。舞台は近未来SF。読者に興味を持って読み進めていただくためにミステリ要素を加えようとも考えました。結果として近未来SFミステリというジャンルになったわけですが、SF(サイエンスフィクション)というからには、未来にありえる世界をリアルに描く必要がありました。加えて、人間の精神世界をテーマに選んだものですから、さらに難しくなりました。精神世界は、へたをするとファンタジーになってしまうからです。
そこでわたしは自分の考えをしっかり理屈つけてから『エンタングルメント・マインド』シリーズを書こうと考えました。それに、もともとそれまで独力で研究してきた内容を整理したかったというのもありました。
そうして、100冊以上の専門書を改めて読み直し、1年がかかりで書き上げたのが『思想物理学概論』です。それまで頭の中でモヤモヤとしていた思想が、書くことで次々と言葉になって表に出てきたのです。この本の執筆は自分にとって刺激的で貴重な体験でした。
『思想物理学概論』は、物理学・心理学・生理学・コンピュータ科学等の自然科学を概観し、現実世界と精神世界を夢見という現象で結びつけるという論理展開の内容になっております。最後の章では人工知能の未来について考察しました。これが『エンタングルメント・マインド』シリーズにつながっていきます。
本のなかでは明晰夢誘導の項に一番力を入れて書きました。そこらへんにある明晰夢本の内容より濃いと思います。読者のみなさまが本書を読んで明晰夢を見られるようになればこんなにうれしいことはありません。
この『思想物理学概論』がバックボーンになって『エンタングルメント・マインド』シリーズは書かれています。もしご興味があれば、ぜひこちらもお読みください。難しいという感想もいただいておりますが学術書よりは平易だと思いますので、科学読み物として気楽に読んでいただけるとうれしいです。
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