読書感想文 『創造の秘密 (22世紀アート) 』村井 忠司 著


 先人たちの言葉を借りて創造の秘密に迫ろうとする本。本書は西洋の偉人の略歴と共に彼らの言葉を集めたものです。470人もの先人の言葉を知ることができる労作です。

 作者は本書を事典ではないとおっしゃっておりますが、わたしは読み物というより、どちらかというと辞書のような使い方をしています。ネットでも人物検索ができますが、本書を使う利点は、創造性という観点でまとめられているということです。気になった先人たちの思想に触れることができます。さらに知りたくなったら、そこから原典に当たればよいのです。

 例えば、ベルクソンの項目では以下の言葉を引用しています。

○意識する存在にとって、生存するということは変化することであり、変化するということは経験することであり、経験するということは限り無く己れ自身を創造していくことである。(『創造的進化』)

 ほんのちょっとだけ残念だったのは、出典が明示されていない言葉もあること。その偉人の言葉として一般的になってしまっているということでしょうか。

 最後には本書を編纂した作者の想いを断想として載せてあります。読む人によって気づきは違うと思いますが、わたしは以下の言葉がグサリときました。

「創造力は結局のところ「行動力」にこそ求められよう。実行なき空理空論は、それが如何に熱っぽく語られようと、まさに空を切る。先ず実際に創造すること、ここに尽きるのである」

 絶版になった紙の本に代わり、電子書籍として復刊されたそうです。しかも内容に対してかなり安価と思います。電子書籍の面目躍如といったところでしょうか。

 日本篇『創造の源泉』もあります(未読)。東洋篇も計画があるとのこと。期待したいと思います。

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