サッカー日本代表 対 ポーランド戦を観戦して
引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる日本は、ポーランドに1点ビハインドの後半終了間際になんと時間稼ぎを始め、負けたまま試合終了することを選びました。ポーランドも勝っているためかあえてボールを取りに行くことはせず、最後の5分間は日本が延々と自軍でボールをパスし続けるというあまり見たことのない試合光景が広がりました。結局、日本はポーランドに負けましたが、同点のセネガルとのフェアプレーポイント差で決勝トーナメントに進出しました。
この日本の試合運びに終了直後から喧々諤々の議論がなされていているわけですが、多くの意見がそれぞれかみ合っていないところに興味を引かれました。かみ合っていない理由は視点の違いにあると思います。その視点の一つは戦術と戦略の違い、もう一つは記憶と記録の違いです。
一つ目の戦術と戦略を今回の試合に当てはめて考えてみます。戦術はどうやって戦うかというプロセスのことであり、戦略は目標を達するためにどうするかというリザルトを重要視する考えです。目標を決勝リーグ進出においていたとすると、それを達成できた今回の戦略(終盤に負けを覚悟で攻め込まない戦い方)は成功したといえるでしょう。しかし戦術という意味では、もともと引き分け以上を狙っていたわけですから負けという結果に対しては失敗だったといえます。ピッチに立っていた選手は戦術に対して責任を負う必要があるでしょうし、監督も戦略的には薄氷を踏むようなリスクを冒したわけですから、大会終了後にはそれぞれ振り返りと反省が必要でしょうね。
もう一つ、記憶と記録の視点の違いです。日本代表には決勝トーナメントに残ることが求められています。すなわち勝ち残ったという記録を残さないといけないわけです。一方で、応援するサポーターは勝ってほしいと思っていますが、それ以上にいい試合を見たいと思っています。つまり記憶に残るようなドラマを見たいのです。日本代表の試合運びがサポータの想いに沿うものであれば双方ハッピーなのですが、今回はそれが反対に向いてしまいました。日本代表は勝ち残ったという記録は残せましたが、サポーターには最低の試合運びという記憶が残ってしまったわけです。
今回のサッカーの議論に限らず、かみ合わない議論の多くは発言している人の視点が違うことによるものが多いと思います。わたしもそんな状況になったときは、一呼吸おいて相手の視点を慮るようにしています。冷静に物事を見られるようになりますよ。
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