読書感想文 『消された藩主』金居真大著

 大学生の矢野君が実家の蔵で見つけた古文書には、先祖がかつて仕えた高塚藩の消された藩主について書かれていた。矢野君は幼馴染の川島さんと、古文書からその謎を読み解いていく。

 といっても、ストーリーのほとんどは古文書に書かれた加納義友についての日記がメインです。「おんな城主 直虎」みたいなお話でした。矢野君と川島さんは最初と最後に少し登場するだけでした。

 消された藩主というと、何か物騒な事件が起こって悲劇的な結末になるのではと想像しがちですが、全くそんなことはありませんでした。わたしはいつ裏切られるのかとハラハラしながら読んでいたのですが、結局悪い人は一切出てきませんでした。いかに自分の性格がひねくれているのか思い知りました(笑)。

 加納義友とその家臣たちの一生を丁寧に描き出しており、その生き様にいたる所でホロリとさせられます。涙腺の弱いわたしを刺激するシーンがいっぱいありました。

 ハラハラドキドキが苦手なひと、感動したいひとにはぴったりの本だと思います。おもしろかったです。

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