読書感想文 『バトルロイド』三文文士 著

 脱走した無用人間を狩る賞金稼ぎ(バウンティハンター)の榊原は、何者かによって妻を殺される。その犯人を追ううち、人間同士で殺し合う『バトルロイド』に参加する羽目になる。仲間のバウンティハンターと共に参加した榊原だったが、最終的に仲間とも殺し合うことになって……

 全般的に救いのない暗いストーリーです。基本的な世界観は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』と同じです。核戦争後の世界もそうですし、逃亡した人間(アンドロイド)を狩るバウンティハンターという設定も同じです。

 前半は、主人公の榊原が、妻を殺した犯人を捕らえようと動き回りますが、ある理由でそれが成就されません。その腹いせ?でやったことで『バトルロイド』という殺し合いショーに参加させられます。このあたり、映画『バトルランナー』を思い出させます。

 人間同士の殺し合いは容赦のない表現で、各参加者がなぜそんなショーに参加することになったのかという背景をじっくり描き出した後、あっさりと殺されていきます。グロテスクな表現ではありますが、あくまであっさりです。このため、マンガ『進撃の巨人』や『バトルロワイヤル』のような虚無的な印象を与えています。

 確かな筆致で最後まで読んでしまいましたが、結局、物語的にも閉じずに終わりモヤモヤが残りました。ですがこれはこれでおもしろかったのは間違いありません。


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