読書感想文 『近くて、遠い』 宮崎 大典(著)

 俺が恋焦がれる幼馴染の姉ちゃんは、女性を好きだった。俺がどれほど好きになっても姉ちゃんは俺に振り向くことは決してない。俺はその恋心を隠し、姉ちゃんと接するが……。


 昨今話題のLGBTQ…のLとGに絡む青春ラブストーリーです。好きになった相手が、志向的に自分を恋愛対象として見ることがない、というのは確かに絶望的な状況ですね。本作の主人公、高校二年生の直人がその状況に陥ります。そんな叶わぬ恋心を隠していると、友人と家族ともギクシャクしてきて、望まぬ衝突をしてしまう、そんなところは王道青春ストーリーでした。想いが届かなくて、見守るだけで本当に満足できるのだろうか、という疑問もわきましたが、若いときの恋心は大人になるとすっかり忘れている、という自分の経験を思い出し、それは時間が解決してくれるはずだぞ、と主人公にアドバイスしてあげたいです(笑)。

 空手部の三バカトリオが、ことあるごとに主人公に挑んでくるサイドストーリーがあるのですが、結局メインストーリーにはほとんど絡むことなく終わってしまい、少し残念でした。空手部総出で囚われの姫を助けに行く、という熱い展開を待っていたのですが(笑)。


エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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