読書感想文 『復活』 村山亮(著)
職業作家を目指す僕は、各地の文学賞に応募するも落選することが続き、ひどい孤独を感じていた。その孤独と正面から向き合うために、物語を書き始めることにした。その物語の主人公は、詩的な自分と実務的な自分を使い分ける銀行員の男性である。
作家を目指す僕が、機械的に行動する男性を主人公に据え、彼の行動と精神に自分を投影させながら自身のこころの奥底を探っていく、というストーリーです。作中作のほうは、途中から精神世界の描写が色濃くなっていき、なんというかエッシャーの絵画を見ているような感覚になりました。この不条理な世界の描写ばかりでは食傷するのですが、時折作家志望の僕がいる現実世界に戻ってきますので、そこで読者(わたし)も目が覚めて、ああこれは作中作だからいいんだ、とリセットして、またその意味を考えることができました。あえてそのように構成されているんだと思います。
この本の内容は自分にはなかなか解釈が難しかったですが、夢の世界がこんな感じだなと不思議な共感を持ちました。最後まで一気読みしました。おもしろかったです。
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