読書感想文 『柚葉通言Ⅳ 小説の敵』 吉田柚葉(著)
小説など文章に関する考察や書評、対談などを収めたエッセイ集。
文章を書くことに対する切れ味鋭い論説が参考になります。中でも「物語はテーマパークに似ている」という考察はなるほどなあと思いながら読みました。物語は、何度読んでも閉じた世界の中で同じことが繰り返される、ということは全く当たり前のことでありながら、自分にとっては新たな発見でした。良書はテーマパークと同様に何度でも楽しめる、ということの理由が分かった気がします。
書評も、取り上げた本に広く深く切り込んでいて、読んでみたいなと思わせてくれるものでした。わたしは大江健三郎の著作を数ページ読んだだけで挫折した口ですが、対談でまた興味が湧いてもう一度チャレンジしてみようかなと思いました。
読み始める前にはもっと敷居が高いイメージがありましたが、そんなこともなくとても読みやすくておもしろいエッセイ集でした。
好きな言葉:
「技巧」だと盲信していたものを捨て去った向こうに、本当の「技巧」が待っている。
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