読書感想文 『フルカミの里』 水谷悠歩(著)

 Z県の川で大学の研究員 鳥山の溺死体が発見された。調査の結果、死んだ鳥山は危険な新型ウィルスにり患していたことが判明。新型ウィルスの出どころを突き止めるため、フリーライター春日と衛生省 萱野は、鳥山が調査していた古文書を探り始める。古文書にあるフルカミが意味するものとは? 新型ウィルスの正体とはなにか?


 散逸したとされる諏方国の風土記の発見から新型ウィルスにつながるサスペンス中編。古文書の内容がどう現代の事件につながっていくのか、ワクワクしながら読みました。風土記の書かれた奈良時代の神事や風習、古い言葉などが詳しく、それでいて難しくなく解説してくれますのでイメージを維持したまま読むことができました。展開はおとなしめで二転三転するということはありませんが、自然の脅威にも晒されることもあり読んでいて緊迫感がありました。

 あと萱野ちゃんの登場シーンがインパクトありました。これでかなり魅力的な印象が刷り込まれました。猪突猛進といった性格がよく表れていて、多少強引なストーリー展開にリアリティを持たせる効果があったと思います。

 知られていない古文書だとか、隠された歴史が現代に影響を及ぼしているんだという陰謀論的な設定はロマンがあって人気がありますよね(最近セルパブでも増えてる?)。わたしも知的好奇心を刺激してくれるこういった物語は大好きです。おもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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