読書感想文 『アマテラスの暗号 〈歴史ミステリー小説〉』 伊勢谷 武(著)

 籠神社の宮司 海部直彦がニューヨークで殺された。海部氏の息子の賢司は、父が日本のタブーに触れたから殺されたのだと知る。賢司は父が遺した暗号を解き、神道に隠された驚愕の真実に迫る!


 いわゆる日ユ同祖論をベースにした物語です。序盤は若干既視感のある展開ですが、帯にもある『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)を意識しているからでしょうね。中盤以降、日本の神々の名前や、神社の成り立ち、祭事などを紐解き、ユダヤ教との共通点をあげていきます。写真や系図などのビジュアルが頻繁に挟まれて理解を助けてくれますが、わたしはそんなに宗教に詳しくないので、ついていくのが大変でした。ついていけてないかもしれません(笑)。結局、作者のオリジナルの論点がどこかわからず終わってしまいました。読んでみたわたし自身の考えは、古代といってもシルクロードなどで交易があったわけですから、ユダヤ人が日本に来ていたというのはおかしくないかなと思います。ただ、ユダヤ教が神道のベースになったというより、もともとあった神道が取り入れたというほうがしっくりしました。神仏習合みたいなものかなと。

 謎解きの合間に中国とイスラエル、神道の秘密結社が暗躍しますが、サスペンス要素は弱めで、どちらかというと神道の謎解きが主題のように思いました。小説としてなら、八咫烏の小橋の苦悩を主題にしてもおもしろかったかも、と思いました。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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