読書感想文 『聖マティルダの結婚』 鴉屋尚宏(著)
フランス革命最中の混迷の時代。ドイツとの国境にあるフランスアルザス地方で奇跡が起こっているとのうわさが広がった。奇跡を起こしてるのは領主の令嬢マティルダ。そのうわさはフランス政府にも届く。マティルダ嬢が騒乱を目的とした他国のスパイではないかと疑い、ときの司令官ナポレオンに調査を命ずる。ナポレオンは腹心の部下アリューをアルザス地方に派遣。彼は奇跡を解明できるのか。
世界史においてフランス革命はエポックメイキングな出来事の一つに数えられていますね。本作はその最中に起こった奇跡騒動を描いた短編です。導入部分では、歴史的な時代背景のなかにフィクションを巧妙に混ぜて書いてあり、本当にあった話なんだ、と最初はそう思ってしまいました。気持ちよく騙されました。歴史上の有名人もキーマンとして登場しますので最後までワクワクしました。
ローマ教皇庁が公認した奇跡がどれくらいあるのかわかりませんが、奇跡といえばファティマの聖母やルルドの泉なんかが有名どころです。最近わたしが覚えているのは、故ヨハネ・パウロ2世の起こした奇跡が認定されて聖人に列せられたというニュース。奇跡って意外と世の中にあるもんだなと思います。さて、奇跡を科学的に説明できるかどうかはなんとも難しい問題であるわけですが、奇跡を起こす人も受ける人も人間なわけですのでそこには精神的な何かが介在しているんじゃないかなと思います。だからこそトリックや詐欺の入り込む隙があるわけですね。本作でのマティルダ嬢の起こした奇跡は本物なのか、トリックなのか、それはぜひ読んで確認してください。わたしは本人が本物と思うなら本物なのだろうと思いました。わけのわからない感想文ですみません。
おもしろかったです。
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