読書感想文 『先生失踪: 失われた原稿を求めて』 遊良カフカ(著)

 ベテラン脚本家の淡路先生がドラマの脚本を投げ出して失踪した。半ば強引に代筆させられることになった弟子の山崎水菜は、淡路失踪の謎を追い始める。


 ドラマ最終回の撮影が迫っているのに脚本ができていないという切羽詰まった状況の中で、一癖も二癖もあるキャラクターたちが右往左往する様子を生き生きとコミカルに描いた短編。

 最終回の脚本に行き詰まり失踪した淡路先生。彼のやっつけ仕事的な脚本を引き継いだのは、かつての弟子、山崎水菜。

 淡路脚本のドラマは、B級的ストーリーで、まあそれはいいんですが(笑)、回収されていない伏線が意味不明だったりと最終回に向けて全く収束する気配が無くストーリーが進んでおり、しかも撮影の制約が多すぎるというカオス状態。こんなむちゃくちゃな状態のドラマをどうやって完結させようと悩むのが前半です。ドラマの裏側ってこうなんだろうなぁとおもしろく読みました。

 後半はあまりにもな状態にキレ気味になった水菜が淡路先生の失踪の謎に迫るミステリーになっていきます。淡路先生が登場するシーン(夢?)や童謡のところなど、ちょっとわかりずらかったのですが、真相は意外な感じでした。わたし個人的には、本当に失踪していて欲しかった気がします(笑)。

 展開が早くて吸い込まれるように読みました。たいへんおもしろかったです。


 全体に誤字、語尾の混乱などが多く、読んでいて引っ掛かりました。リズム良く読める短編なので、そこだけが残念でした。

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