読書感想文 『ルームシェアの恩人』 宮崎健(著)
ルームシェアをしていた六人の若者たちが、突然大家から明日からひとりずつ退去しろと言われる。仲良くルームシェアしていたはずの六人だったが、その関係が徐々に壊れていく。
毎日ひとりずつ退去する人物を決めていくという、いわゆるデスゲーム小説です。退去するだけですと緊迫感が薄れてしまうので、退去イコール死に結びつくようなイメージをうまく作っています。それまで仲の良かった仲間の関係がひとりずつ選ぶ過程でぎくしゃくしていくというテンプレ設定ではありますが、筆の勢いが良く、一気に読むことができました。一本道のストーリーラインなので、勘の良い読者なら途中で真相がわかるかもしれませんね。ただ、ユイコとタケシの関係やワタルはなぜ途中でわかったのか、という回収されない伏線もあり、それが逆にストーリーに深みをもたせているように感じました。
短編なので三十分くらいで一気に読めました。おもしろかったです。
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