読書感想文 『黒蝶を狩る者』 六冥社(著)

 大学新聞部の新人カメラマン皆川薫は、部長の御影恭介ともに黒魔術信者の集まり『黒蝶会』の取材に向かう。廃墟と化した洋館の地下に、黒蝶会の最新施設があった。中からカギを閉め密室状態となった施設で、悪魔の仕業のような酷い殺人事件が起こってしまう。


 新聞部の部長が探偵役、女性カメラマンが語り部の、雰囲気プンプンの伝奇ミステリー中編です。黒魔術信者が相手ということで、登場人物全員があくの強いキャラクターばかりで、キャラが立っている、というのはこういうことなんだなと思いました。現実的にはあり得ないくらいのキャラ立ちにしているのは、黒魔術とその施設の信憑性を高めるためなのでしょうね。リアルとファンタジーの境目のシチュエーションですが、ストーリーはロジカルに進んで最後はリアル方向に天秤が傾きますので好みの感じでした。

 密室殺人のトリックや、犯人の動機などの伏線はあまりないので、ガチガチの本格ではなく、どちらかというと黒魔術の儀式と殺人の雰囲気を楽しむミステリーです。

 文章もライトで読みやすく、物語もテンポよく進んでいくので、一気に読んでしまいました。おもしろかったです。連作短編などでシリーズ化してくれないかなァ。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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