読書感想文 『ワンルームよりうらみはらせ』 まつだつま(著)
築浅、駅近のワンルームマンションが、相場の半額以下。不動産屋はそんな特別物件を紹介した。客の名前が気に入ったという理由で……。そのマンションにはすでに、フランケンシュタインのような風貌の男がひとり、入居していた。そこに新たに入居してきた四人の身に、ある現象が起こり始める。
ホラー系の内容かと思いきや、すぐにほのぼの系に変わっていきますので、怖いのが苦手な人でも安心です(笑)。マンションに引っ越したときって、他にどういう人が入居しているのか気になりますよね。不安半分、期待半分のそんなワクドキの記憶が冒頭を読んでいて蘇ってきました。ただ、ここに入居しているのは風変りな人たちばかりなわけですが……。
第一印象は最悪な入居者たちでしたが、ある現象を通して次第に仲良くなっていきます。その現象は、いわゆる霊体験で、それがある事件に関わっていて、それを解決するために団結していく、という勧善懲悪ストーリーに後半は変化して、ラストはハッピーエンドで終わります。なので読後感はよかったです。
個人的には、最初のエキセントリックな人物造形はそのままに、もっとクレイジーなストーリーを展開していくというパターンでもおもしろかったかな、と思いました。
入居者の名前がなぜ気に入ったのか、というのはラストまで読んでのお楽しみです。最後、種田さんが入居して、恨みを晴らした、ということなんですね(笑)。おもしろかったです。
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