読書感想文 『俺は君だけのシャーロックホームズ』七 著
男子高校生の葉純壮史は、幼馴染の麻吹の生活の助けになろうと、たまたま見つけたアルバイトを始めるが、そのアルバイトは奇妙であやしいものだった。そのバイトが、幼女連続誘拐事件に関係しているかもしれないと考えた葉純と麻吹は、その裏に潜む謎に迫ろうと行動を始める。
まず冒頭、作中作『愉悦の家』という小説が挿入されていて、なんだこれとなるかもしれません。昭和初期のやうな言葉選びの小説になつてゐて、ここでいきなり躓く読者が多そうです。ここを通り抜ければ、あとはライトな文章に戻りますので我慢して読みましょう。
序盤は奇妙なアルバイトの謎で引き付けて、中盤の麻吹失踪あたりから緊迫感が出てきます。このミステリー仕立てに加えて、葉純の男子高校生らしい恋模様もストーリーに彩を加えています。
結局バイトと失踪事件については、ミステリー好きから見ると夢オチの次くらいに納得いかない謎解きなわけですが、個人的にはほのぼのとした感じでこれはこれで良かったかなと思います。
最後に麻吹自身の過去についても解決に向かい、ハッピーエンドで終わります。
公募の最終候補に残ったというだけあっておもしろかったです。
このお話のヒロイン麻吹は人目を惹く美少女なのですが、すでに人生を達観しており、言葉遣いや行動、態度もオッサンです。わたし、流行りには疎いほうなのですが、最近こういったヒロインが出てくる小説をよく読む気がします。流行っているのでしょうか?
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