読書感想文 『オブスキュリティ』川内祐 著
火山を人工的に噴火させることのできる兵器によって、日本はテロ攻撃の危険にさらされていた。その調査に外務調査室の沢渡が任命される。彼は汚れ仕事もいとわないオブスキュリティのメンバーだった。沢渡は、柏木という女性とともに中国に渡り、調査を始めるが……
日本と中国を舞台に繰り広げられる、暗号、盗聴、爆弾などなどのスパイ戦を緊迫感いっぱいに描いています。細かいところまでリアルで迫力があります。新技術を使った国家が関与するテロもリアリティがあります。そして最後には大きくひっくり返されます。
ハードボイルドな生きるか死ぬかの世界では、男と女の間に芽生えるのはあれしかありません。この小説でもそれは変わりませんが、その関係性は抑制された表現で描かれいぶし銀の味わいがあります。好きな感じです。
残念なのは短いこと。時間を忘れて読んでいたら、あっという間に終わってしまいました。このストーリーをもっと膨らませた長編を読んでみたかったです。もしかして続編の計画があるのでしょうか?
たいへんおもしろかったです。続編も読んでみたいです。
0コメント