読書感想文 『雷鳴館の殺人』八槻翔 著

 来明館という山奥にある洋館を購入しようと集まった5人。そこに現れたのは、名探偵志場みなみと、急きょ雇われた助手だった。実は5人のうちの1人に脅迫状が届いていたのだ。その調査の中、激しい雷雨が降り始めた来明館は外部との情報が絶たれ、陸の孤島のようになってしまう。そこで殺人事件が次々と起こる。犯人はいったい誰なのか?

 この小説は、問題編と挑戦状、解決編という構成になったミステリです。犯人を言い当ててみろという作者からの挑戦状がついており、まるで作者と知恵比べしているような刺激的な推理小説でした。

 内容はオーソドックスなクローズドサークルで、トリックも気付けばなるほどと頷けるものです。挑戦状にも書かれておりますが、名探偵の一人称で書かれていることによる情報の錯誤をうまく使っています。最後には最重要な登場人物も○○されてしまいます。これは意外でした。

 こなれた文章で引っ掛かるところもなく、最後まで一気に読みました。文句なしにおもしろかったです。


 ロジカルにきっちり構築された本格ミステリなので、その分、読み味は若干無機質に感じました。わたしは好きですけどね。

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