読書感想文 『私はあなたを探し続ける』武内一馬 著

 ある探偵事務所に人探しの依頼が舞い込む。探す相手は『七海』という少女であるが、その彼女を探すことができるのは、その探偵事務所に所属する一人の若い探偵(有村)だけという。しかし彼にも『七海』という少女の心当たりはなかった

 という興味をそそる依頼から始まるSFミステリです。序盤は、有村と友人たちによる『七海』についての推理が繰り広げられます。有村は若いのに理屈っぽく、まさに探偵といった雰囲気です。中盤から後半にかけて、有村の過去と『七海』の関係を紐解きながらストーリーが展開します。絡み合った糸を上手にほぐしていく感覚で、グイグイ引き込まれます。最後はオーソドックスなミステリで終わらず、SF趣向の濃い結末になります。これは賛否あるかもしれません。

 文章はワンセンテンスが長めで最初は目が滑ったのですが、リズムが合ってくると不思議と気にならなくなりました。シチュエーションに応じた言い回しが巧みで、参考にしたい言葉がたくさんありました。

 短編とは思えないほど濃い内容で、あっという間に読み終えました。たいへんおもしろかったです。わたし個人的には、この題材で本格ミステリを読んでみたい気がしました。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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