読書感想文 『~空葬(そらそう)~喪服のチャックが閉まらない』菅原裕一 著
亡くなった人を火葬するときに特別な処理をすることで、骨も残さず煙となって空に消えて終わる葬式の方式『空葬』。死んだら空気に戻る、残した人にも手間を掛けさせない、これは結構いいお葬式なんじゃないかと思い、自分が死んだら空葬にしてほしいなとググってたんですが……出てこないじゃん!って、フィクションでした。冒頭、空葬というお葬式についてもっともらしく説明してくれるため、わたしはてっきり本当にある方式かなと思ってしまいました。まんまとだまされました(笑。
その空葬は脇役で、お葬式の場で繰り広げられるエッチな出来事にフォーカスした短編集です。エッチというほどエッチではありません。どちらかというと下ネタのコメディです。全員、亡くなった方と関係のある女性が語り部です。一般的には暗くなりがちなお葬式なのですが、本書では明るい笑いを提供してくれます。こういうお葬式っていいなと思いながら、軽く読めました。おもしろかったです。
あとがきを読むと、このような明るいコメディを書いた人とは思えないほど、作者はかなりお疲れのようです。十分休養して、またおもしろい作品を読ませていただけることを期待しています。
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