読書感想文 『蝉の声』七迦 寧巴 著
環境問題に警鐘を鳴らすひと夏のお話、サイコパスで幻想的なお話、ミステリ的なおもしろさもある怪奇なお話、近未来ディストピアのお話、現代ファンタジーで味付けた恋愛小話の短編5作を収録。
いずれのお話もテーマは違いますが、背景にあるのはホラーです。本格ホラーというわけではないのですが、読み終わった後、冷たい手で首筋を触られたようなひんやりとした雰囲気になるホラーテイストの小説です。この猛暑にぴったりです(笑)。
5作とも主人公の一人称で語られます。そのため、緊迫するシーンでは主人公の目線で情報が入ってきますので結構ドキドキします。ホラーには合った文体なのですね。
5作のうち、わたし的には『迷い路の月』が好みでした。もうろうとする中での夢のカタチが良く描けていると思いました。一番怖かったのは『湖の灯り』でした。
いずれも良く練られた短編でおもしろかったです。
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