読書感想文 『ベイビー・チェンジング』原田 修明 著

 高校生 赤星清美はあるきっかけで甥の央明(1歳)と魂が入れ替わってしまう。清美は、赤ん坊の身体になったことをいいことに密かに想いを寄せる綾(兄嫁)のカラダを存分に堪能する。しかし至福の時は長く続かず、日が暮れるまでに清美と央明が一緒に神社に参らなければ二人とも魂が消滅してしまうという。

 自分が赤ん坊になったら、という妄想は、正常な中学・高校生男子なら誰しも一度は夢見るシチュエーションでしょう。それを叶えられたら、やることは一つ。エロしかありません

 主人公は幼馴染で兄の嫁である綾にあこがれています。欲望の対象となるヒロイン綾は終始熊本弁で話します。方言の女性ってセクシーに感じますよね。前半はその想い(エロ方面)をストレートに描写していて好感が持てます。さらに主人公は、清楚でセクシーな綾だけでは飽き足らず、いとこの女子小学生のカラダにまで手を出します。一線を越えてます(笑)。

 もちろんそんなエロシチュエーションだけではありません。エロシーンの中にも綾はこころの闇を見せ始め、中盤から徐々にその闇が深くなっていきます。そして皆が触れたがらない過去が明らかになります。その中心人物が「鬼海ゆり」です。出番が少ないのが残念なくらい際立つキャラクターでした。鬼海ゆりだけの外伝が読みたいくらいです。あと、モテモテの拓美君が憎い(笑)。

 文章は凝った比喩もなくすごくスッキリしていていて、読んでいることを忘れるくらいです(変な表現ですが)。リーダビリティはとても高いです。

 ストーリーは全体的にシリアスなのですが、その中にオモシロシーンやエロシーンがポンポンと差し込まれます。例えば、赤ん坊の魂の入った高校生をマジメに描写していてシリアスなのにオモシロいという場面。シリアスとオモシロが対比となりそれぞれがさらに際立っていました。この本はシリアスエロギャグなんだなと思いました。

 たいへんおもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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