読書感想文 『セイラ: あなたには目撃者になってほしかった』 せいら 著)

 わたしはガンダムに出てくるセイラ・マスのようになりたくて、ダイエットを始めた。わたしは小公女セーラのようになりたくて、みんなの使い走りをした。というような小話集。


 なんだこれは……というのが最初にこの本を読み始めたときの印象。小説というには話し言葉だらけで、行間も広くてバラバラ。ストーリーも意味不明です。だって、「せいら」という少女(作者?)が、ガンダムのセイラ・マスに憧れてダイエットを始めるんですよ(笑)。でもね、これがおもしろいから困るんです。正直、一気読みでした。そして理解しました。これは小説ではなく、漫談なんだと。ひとりボケ、ひとりツッコミはもちろん、「~ですよね?」などと読者に同意を求めたりなぞかけをしたりする言葉も頻繁に出てきます。そして無駄に見える広い行間も、いわゆるトークにおける間の役割を果たしているのです。漫談がそのまま文章になったようで、観客の代わりに読者が笑ったり肯いたりする感じです。こういう小説もありだなあ、と思いました。おもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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