読書感想文 『アトカタモナイノ国』 姉崎あきか (著)
大学生のカズキは高校生時代にひと夏だけ付き合っていたユナという少女のことを忘れられないでいた。一枚だけ彼女の写る写真。アルバムを開けると、写っているはずのユナの姿が消えていた。
冒頭の写真の人物が消えるという出来事、白昼夢のようなユナとの思い出を語る前半の内容から、オカルト系かSF系のお話かと思いましたが、しっかりミステリでした。カズキと妹まりあの軽い掛け合いに、パズル作家で名探偵のクリスの色男キャラクタが合わさってライトノベルのような読みやすさです。しかし内容はロジカルに良く考えられたもので、読みごたえがありました。
気楽に読み進めていけるわりに結末がハッピーではないのがせつないところですが、この話の筋ではそう持っていかざるを得ないのでしょうね。色男の謎についても、確かにそんな描写がそこかしこにあって、ああなるほど、と感心しました。おもしろかったです。
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