読書感想文 『残された命の証し』 瞬那 浩人(著)
調布市で一家四人が惨殺されるという事件が発生。現場には『闇獄魔』と書かれたカードが置かれ、なぜか小学2年生の男子児童が犯人に見逃されて生き残るという奇怪な事件だった。私立探偵 竜崎隼と、事件に興味を持ったジャーナリスト澤室恭介が協力して事件を追う。しかしさらなる一家惨殺事件が起こってしまう。
かつてTVで放映していた火曜サスペンス劇場を彷彿とさせる、探偵兼ジャーナリストが主人公のサスペンス長編小説です。児童一人以外の一家全員を惨殺するという連続殺人鬼を、主人公ともうひとりのジャーナリストが追います。猟奇殺人や、刑事と犯人との心理戦などを詰め込んであって、最後まで読者を飽きさせません。今にも火曜サスペンスのテーマ曲が聞こえてきそうです(笑)。
トリックは工学的な知見が使われており、作者の経験が活かされています。わたしも工学系ですので、DNAに関するトリックには、へえ~と思いました。
ミステリを読みなれている人なら前半で犯人がわかると思いますが、後半はなぜその罪を犯したのか、というホワイダニットで楽しめます。ネタバレしそうなので、あまり詳しく感想を書けないのがつらいところです。
ガチガチの本格ミステリーではありませんので、犯人当てや伏線探しをしながら読むよりは、肩ひじ張らずにストーリーに身を任せて読むのが良いのではないかと思います。おもしろかったです。
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