読書感想文 『蝉となく』 空知京佑(著)

 高校卒業して三年たった夏、織田尚樹は地元に帰省してきていた。蝉の鳴く中、彼は高校の裏にある空き地に歩を向ける。空き地に置かれた思い出のコンテナの上には、いるはずのない山中理佐がいた。

 尚樹の語りによるせつない恋愛短編。三年ぶりに帰ってきた地元で偶然元カノの理佐と再会し、尚樹は高校時代を思い出します。高校の時、ごく自然に付き合いはじめた尚樹と理佐でしたが、あることがきっかけで破局します。ちなみにここで尚樹の親友の和哉くんが重要な役を演じておりますが、そんなことをしたら殴られて当然でしょ、と思いました(笑)。それ以降、尚樹と理佐は口を聞いていませんでしたが、再会で久しぶりに話しをして当時の誤解を解きます。わたしはこういった恋愛はしてこなかったのですが、このへんはむずがゆくなるような懐かしい気持ちを思い出しました。ラストは少しオカルトチックですが、怖い感じではなく後味の良い感じでした。

 それからタイトルがとても良いです。おもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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