読書感想文 『シャドウ・ファイト』 Sechi(著)

 不動産仲介業で失敗した工藤は、中国の地方都市に進出しようとしている桜桃電機との取引に再起を賭けようとしていた。担当の室井と食事に入ったレストランで、店員の蘭々とカードゲーム(ポーカー)をやることに。ゲームには大勝するも、物忘れがひどくなり……


 人間の生気を人魂のような『影』で表現し、それを奪い合う戦いがシャドウ・ファイトです。レストランでのカードゲームはただの小遣い稼ぎで、地下でのシャドウ・ファイトが生死を賭けた戦いになります。その戦いに工藤が巻き込まれていきます。

 シャドウ・ファイトは格闘ゲームのように描写され、映像化されたら映えるだろうなと感じました。とはいえ、ファイト自体はそれほど多くなく、どちらかというと人情話がメインストーリーです。工藤と日本に残してきた娘との関係と、レストラン店長の李亮と欄々の関係が重なるように構成されており、父娘の愛情のようなものがメインテーマなのかなと思いました。

 文もこなれていて読みやすく、設定も凝っていて短編なのがもったいないくらいです。長編を読んでみたいと思いました。おもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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