読書感想文 『パラレル』 成田莉音(著)
鈴木航(大学生)は、遠大な復讐劇を遂げ、しかしすべてを胸にしまったまま死刑執行された。その罪とは、決意とは何だったのか。
ハウダニットのミステリ小説です。鈴木航の死刑執行の場面が冒頭にあり、なぜ彼は死刑になるのか、美月という少女の存在はどう関係してくるのか、と、いろいろ『なぜ』が浮かんで、ページをめくる手が止まらなくなってきます。
大学生の鈴木航は、ある復讐心を抱いているのですが、そんな感情はおくびにも出さず、普通の大学生活を送っています。序盤では、復讐する機会を窺がっている彼が、ある平凡で平和な家庭に、家庭教師として潜り込み、その家族との親しい交流に葛藤しつつもついに復讐を決意する、というストーリーでなぞを膨らませ、中盤からは、鈴木航の生い立ちと復讐する理由が明かされ、涙を誘います。読み進めるほどに、救いのないストーリーで悲しくなってきます。
ミステリですので、ネタバレしない程度の感想しか書けないのがつらいところですが、端的に言うと、復讐の連鎖がテーマかなと思いました。そういう意味でも、読んだ後味は良くないです(笑)。こういうミステリをイヤミスっていうのかな?
タイトルの「パラレル」は、最後に明かされますが、自分には意味不明でした(笑)。ストーリーが2分して、それが最後どう最初につながるのか(つながらないのか)、作者の意図がよくわかりませんでした。ここはみなさんのご意見をお聞きしたいところです(笑)。
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