読書感想文 『日はまた昇る、君の心に』 如月恭介(著)

 週刊誌ジャパン・ウィークリーの女性記者 沢井祥子。タックスヘイブンのケイマン諸島から流出した顧客リストを端緒に五洋電機の粉飾決算、曙自動車の燃費偽造と次々と不正を暴いていくが……


 前半は池井戸潤を彷彿とさせる経済小説の趣です。タックスヘイブンや五洋電機、曙自動車と、実際にあった事件や企業を思い起こさせる内容でした。ああこれはあの事件を背景にしているんだなとか、これはあの企業の不祥事がモデルかなと思い出しながら楽しく読みました。わたし自身は経理や会計の仕組みはあまり詳しく無いものですから、この本の実例を示した解説は勉強になりました。

 後半は人情モノになります。わかりやすい勧善懲悪的なストーリーになって爽快です。一方で、現実の世界はそんな単純でもないんだろうなと読みながら感じました。そういう意味では夢を見せてくれるストーリーでした。

 文章は大沢在昌のような勢いのあるハードボイルドですが、とても読みやすく一気に読みました。おもしろかったです。


 少し気になったのは、証言を無断録音して証拠とする場面が多かったことかな。

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