読書感想文 『その街 遠影』 池田三郎(著)

 ある夏の夜、大学生の立花は、同級生の江川に誘われ、海水浴に出かけた。その途中、怪しい男が慌てた様子でビルから飛び出し、バイクに乗って去っていったところをふたりは目撃した。後から聞くと、そのビルでヤクザの組長が射殺されたという。彼らが見たのは、襲撃事件の犯人だったのだ。そのときから、彼らはヤクザの抗争に巻き込まれていく。


 事件に巻き込まれた主人公の立花が、友人を救うために悪に染まっていくサスペンス小説です。前半は、音楽で食べていくか、とりあえず大学を卒業するかで悩む主人公がいて、てっきりそういう系統のストーリーかなと思って読んでいたら、途中からヤクザの抗争が出てきて、あれよあれよという間に巻き込まれ、さらに後半にいくほどバイオレンス度が高まっていき、ついに主人公は、ヤクザ相手に、ヤクザ顔負けの勝負にでる、という冒頭からは想像できないラストになりました。タイトルからも内容が想像できない(笑)。

 後半で、身体を鍛えたり、武器を用意したり、ヤクザに立ち向かえる精神力があったりなど、なぜそういうことができるのかというバックボーンが、若干ご都合的にみえてしまったところがもったいなかったなと思います。そのへんは、前半から登場していた野原を活躍させても良かったかなあと。

Amazonリンクがエラーになってしまいましたので、表紙画像をダウンロードさせていただきリンクを貼りました。

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