読書感想文 『ROBOTS』 植田シキ(著)
自動運転のAIタクシー(アイト)と人間ドライバーのオールドタクシー(ヒット)が共存する近未来。洗練された接客と安さでアイトが市場を席捲。ヒットを選ぶのは物好きだけになっていた。ヒットの良さを追求するタクシードライバー重松は、行先のはっきりしない客を乗せる。彼はヒットの良さを伝えられるか? このお話『アイトとヒット』を含む短編集。
いずれもAIをテーマした4編の短編が収録されています。AIタクシー、AIドール(アイドルの代わりに握手会にでるロボット)、マッチングAI(最適な結婚相手をマッチングしてくれる)、AIペットのお話です。いずれも技術進展によって早晩実現するでしょうし、一部はすでにあったりしますね。必ず訪れる近未来を、社会というマクロな視点ではなく、一個人のミクロな視点から描いています。基本は人間賛歌なので安心して読めました。
AIがいいのか人間がいいのか、結局選択するのは使う側の人間です。人間がこの世界での主役である今はまだ、主導権は人間にあります。しかし、その選択ができなくなったとき、人間はこの世界の主役から転落するのでしょう。近い未来はきっとそんな世界になるんだろうな、と思いながら読みました。おもしろかったです。
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