読書感想文 『警視庁鑑識員・竹山誠吉事件簿「凶器消失」』 桜坂詠恋(著)
休暇を取り、金沢に夫婦で旅行に来ていた竹山警部。妻と散歩中にパトカーを見つけ、反射的にそれを追いかけてしまい、そこで旧知の濱口警部と鉢合わせ。事件に首を突っ込むことになってしまった。その事件は、密室殺人事件だった。
テンポの良い警察小説の短編です。『はぐれ刑事純情派』の登場人物のような人情の厚い警部が、その経験を活かして密室殺人事件を解決していきます。前半は金沢の街並みもしっかり描写して2時間サスペンスの匂いをさせつつ、事件が始まってからは、捜査の進め方、そこで使われる隠語、薬物のウンチクなど、まさに警察小説といえる濃い内容でした。昇進より現場を重んじるおっさん主人公をはじめ、それ以外の登場人物も実直な男たちばかりで、全般に今どきのキラキラ系ではない地味系なんですが、それがかえってさわやかな雰囲気を出しています。謎解き部分も、ミステリ小説にありがちな『犯人はお前だ!』的な追い詰めシーンはなく、実にさっぱりしているところも好感度高いです。リアルなんですよね。おもしろかったです。次は長編を読んでみたいです。
Amazonリンクがエラーになってしまいましたので、表紙画像をダウンロードさせていただきリンクを貼りました。
0コメント