読書感想文 『101点の犯罪: 名探偵 風泉俊馬シリーズ』 小川修身(著)
ソフトウェアエンジニアの荒川が、旅行先で崖から転落死した。警察は、酒に酔って転落した事故死として処理をしたが、荒川の母親はそれを信じず、息子は誰かに殺されたのだと、探偵事務所に相談する。調査を担当することになったのは、風采の上がらない風泉という若い探偵だった。
頭ボサボサに無精ひげ、着ているのもヨレヨレの薄汚れたコート、そしてちょっつ抜けているような行動をしていて周りからは笑われている……しかしその実、調査と推理に関しては優秀、というわたしたちが思い浮かべる名探偵のイメージそのままの主人公です。刑事コロンボや、金田一耕助といった往年の名キャラクターが思い浮かんできます。その名探偵 風泉(ふうせん)と犯人+共犯者の化かし合いによってストーリーが進んでいきます。特に途中から、倒叙ミステリ構成(読者には犯人がわかる)になりますので、犯人対名探偵の対決が見どころです。と、いいつつも、犯人はいつも右往左往し、共犯者も頭が良い(設定)のわりにお節介やきでヒント出しまくりで、犯人側の動きはコメディのようでした(笑)。名探偵のほうも、なかなか真相にたどり着かないので、犯人がわかっている読者としてはヤキモキしながら読みました。おもしろかったです。
この名探偵 風泉シリーズ、なんと26巻までKindle出版されています。全部長編で26巻。素直にスゴイなと思いました。作者の、この主人公(名探偵 風泉)への愛情が伝わってきました。
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