読書感想文 『この世界は、誰かの“欠如”でできている: ──哲学と記憶が交錯する、感情喪失系ミステリードラマ』 君りん(著)
感情の乏しい男子高校生、透。彼しかいない哲学部に、転校生の澄乃が入部してきた。幾多の問答を通して彼の感情が少し揺れる。そして澄乃はいなくなった。
最近、精神と現実をいったりきたりするような内容の小説が増えてきたんでしょうか。もしくはわたしが目にすることが多くなっただけで、昔からそうだったんでしょうか。こういう設定の小説は、SFに寄るかファンタジーに寄ることが多いのですが、本作はロマンス方面に寄っているのが特徴です。
ほぼワンセンテンスで改行される文章や行間あけで、立て板に水が流れるように読めてしまいます。おもしろいな、と思ったのは、改行だけでなく改ページも意図的にやっているところ。場面転換だけでなく、情景変化やセリフの思わせぶりなところでも改ページされますので、次のページをめくるたびに盛り上がる感じがあります。テレビ番組で言うところの『CMまたぎ』に近い感じですね。その効果と引き換えに1ページの文章が少なくなっているのですが、ライトノベル的な読み味のおかげで違和感はありませんでした。
内容はちょっと理解が及ばなかったのですが、小説技法という面でおもしろかったです。
Amazonリンクがエラーになってしまいましたので、表紙画像をダウンロードさせていただきリンクを貼りました。
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