読書感想文 『[短編集]武装労基隊、他』 梶舟景司(著)
労働者に長時間労働を強いる企業を取り締まる労働基準監督署には、臨検時に突入する特殊部隊があった! 彼らは、抵抗する企業側と銃撃戦まで行い現場を制圧する。そうまでしなければならない社会的な要請があったのだ。
労基局がブラック企業と戦う、というのはよくある社会派小説ですが、本作では企業の抵抗が激しいというひとひねりが加わり、労基局に突入班という特殊部隊が設置されたというおもしろい設定になっています。ブラック企業が社員を監禁して働かせるその手法にも言及があるのですが、実際に長時間労働をしているわたし(笑)の意見は逆でモチベーションが高くないととても長時間働けないなと。でもそうではない状況で働いてる人も多くいるんでしょうね。労働人口が減ってくる将来、生産性(効率)の向上が限界にくると労働時間を伸ばすしかないのは明らかなわけです。作者は監禁型労働のような極端な設定によって現実の長時間労働問題を浮かび上がらせようと試みたのではないかと思います。このお話でも結論は出ないのですが、一人ひとりが考えることがまずは重要なんでしょうね。
あと短編が2編収録されています。そのうち感情をチャージするお話が設定が奇抜でおもしろかったです。
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