読書感想文 『駆け出しミステリー作家と二毛猫リャンの小さな冒険』 和泉 綾透(著)

 駆け出しミステリー作家の都並大祐は、なぜか探偵に間違われることが多くなっていた。今回の依頼は、二毛猫リャンの捜索。最初は断った大祐だが、元読モで超美人の月丘夕のアドバイスでその依頼を受けることに。シリーズ第6弾!


 これまでキレの良い一人語りが楽しくて読んできましたが、序盤はなんというか良く言えないのですがシリーズ第6弾まで来てその勢いが少し失速したかなと思いました。ただ中盤からは調子が戻ってきて、終盤まで一気に読めました。

 今回は新たなキャラクター星名真琴が登場します。ほんわか雰囲気に隠された芯の強さが魅力の女子大生です。彼女と猫探しをベースに人間関係のもつれを想像して殺人事件まで持っていきます。彼女とのやり取りを通し、都並は彼女のコーチング力が月丘の代わりになると見込み「チーム都並」に誘います。今後のシリーズが楽しみです。

 さてこの本の最大の見どころ(読みどころ)は、アニメ『イヴの時間』の考察でしょう。『イヴの時間』にケストラーのゴーストを重ね合わせ、さらにヒューマノイドと二毛猫リャンとの相似を見出します。わたしは『イヴの時間』を知らなかったのでこれは見てみようと思いました。

 今回ははっきりした結末ですので後味すっきりでした。いつも通りたいへんおもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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