読書感想文 『黄昏のワンダーランド』 Sechi(著)

 遊園地で観覧車が停止した。乗っていた微妙な雰囲気の男女、並んでいた離婚直前の親子、操縦席を襲撃した女とスタッフ、それぞれ3組の人生が観覧車で交錯する。短編。


 平面上にある平行でない直線は必ずどこかで交わります。一人ひとりの人生を直線に置き換えたとき、それぞれの直線が交わる点にあったのが観覧車でした。「乗っていた男女」と「操縦席の男女」の線は観覧車という交点でそれぞれ一つの線になり、一方、一本の直線だった「並んでいた親子」は観覧車を交点に二本に分かれていきます。彼らは「観覧車」という人生の交点で一瞬だけ濃密に交わります。この本では、普段は気付かない人生の一期一会を大げさな行動を通してコミカルに描き出し、わたしたちに気付かせてくれます。実はわたしたちの身近にもステキな一期一会が隠れているのかもしれませんね。

 個人的には「飛べる豚ポルコ」のエピソードが一番可笑しかったです。おもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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