読書感想文 『ツツミ』 三塚日月(著)

 地味で引っ込み思案の女子大生 藤川智沙はクラスでグループワーク課題を押し付けられそうになる。必死に拒否すると今度は仲間外れにされてしまった。逃げるように人気のないため池に足を踏み入れると――


 罪の語源はものを包むのツツミ……という講義から始まるライトホラー短編。罪は池の中に包み隠されているという設定をホラーストーリーにうまく膨らませています。おどろおどろしいというよりスマートな感じの読後感でした。

 ガラス細工のようなキレイな文章です。「広い背がぼんやり像を結んだ」のような上手な比喩もたくさんあってとても参考になりました。

 掌編に近い短編で気分が盛り上がる前に読み終わってしまいましたので、次は丹野くんと智沙の恋愛模様とホラーを絡み合わせた長編も読んでみたい気がしました。

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