読書感想文 『バカラドライブ 破滅の旅: DRUNK CHANGE SIDE STORY』 八坂堂蓮(著)
クリスマスの夜に入ったスナックで再会した女は、昨年のクリスマスに殺されたとばかり思っていたくたびれたマリアだった。クリスマスにマリア……奇跡が起きそうな偶然じゃないか。男は昨年の奇跡を思い出していた。短編。
冒頭の奇跡的再会から「どうでもよい」雰囲気があって、裏社会の薄情さが表れています。その後お話は昨年のクリスマスに起きた命がけの奇跡の回想になります。闇カジノで繰り広げられる運の引っ張り合いが実に生き生きと描写されています。客同士も知っているようで知らない他人で、薄情でありながらも妙な連帯感でつながっているという奇妙な一体感を良く表現しています。これからも知ることがないだろう闇カジノの情景を感じることができ、とてもワクワクしました。
わたしはバカラというカードゲームをこの本で初めて知って、バカラのルールを調べながら読みました。バカラのルールを知っていることを前提としたシーンがありますので、事前にバカラを調べておくとより楽しめると思います。それにしてもバカラって、賭け事にバッチリ合ったカードゲームなんですね。
お話の最後は泡の国での奇跡(笑)になります。これは気の毒というかなんというか……おもしろかったです。
文章はユーモアを交えたハードボイルドな一人称です。ワンセンテンスが長く、主語が何だったか迷子になることがありました。
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