読書感想文 『完全犯罪小説家』 一色 夜想(著)
売れっ子推理小説家『関根つかさ』が、元恋人と断崖に飛び込んだ。同意心中とされた事件の裏には渦巻く怨恨があった。『関根つかさ』が企んだ完全犯罪の真相は?
推理小説家『関根つかさ』こと香椎萌花は、20年連れ添った夫 啓介と離婚し、その10か月後に元恋人 水樹光と心中します。萌花は重い双極性障害を患っており、その原因は水樹にありました。それにしても水樹という男は酷《ひど》いヤツですね。とはいえクズだからといっても殺していいわけではないのですが……しかしこのような形で殺されてしまうと、犯人は捕まらないし真相はやぶの中でわからないし、ということで確かに完全犯罪になってしまいますね。唯一完全犯罪が綻《ほころ》ぶとしたら、探偵の守秘義務を頼みにしているところでしょう。でも犯人本人としたら、それもどうでも良いことなのかもしれません。
死を恐れない人間ほど怖いものはありません。悲しいことですが。読後はどんよりとした余韻に浸りました。
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