読書感想文 『駆け出しミステリー作家とマリッジブルー狂詩曲』 和泉 綾透(著)

 今回殺される役の人は、学校には必ずあって、学生の憩いの場になっていることが多く、創作においてはボーイミーツガールの舞台になったりあまつさえラブホテルの代わりに使われることもある例の場所に勤める人だ。簡単に言うと保健室の先生である。保健室の先生と聞いて、いたずらされる僕、を思い起こす諸賢はアダルトのあれこれを見すぎなのでむしろ病院に行ってむさい医師に性根を叩き直してもらったほうがいい。さて――殺される役の人は中越先生といって、そのイメージは学生から見たら大人の女というよりお母さんといったほうがすっきりする。むろん外見も含めて、である。そんな彼女がなぜ殺されなければならないのか、それを考えて――ここポイントで理由は事実でなくても、事実でないほうがいいのだけど――ミステリに仕上げるのが僕のミッションだ。シリーズ第8弾!


 紹介文をこの本の文章を真似て書いてみましたが、むずかしいですね。実際はもっとウィットに富んでいてテンポが良くてキレがあり、それでいて自然な語り口ですが、こんな感じの文が最初から最後までずっと続くんです。

 さて今回は中越先生という大学の養護教諭が殺される役になります。中越先生と交通事故で半身不随になった彼女の恋人との関係性と心情をミステリを舞台にあぶり出していくのが本筋。サイドストーリーが例の「チーム都並」――おかしな面々――のコメディ劇です。本筋はなにかいい話だったような気がするのですが、「チーム都並」のキャラクターが濃くて、記憶に残りませんでした(笑)。今回もおもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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