読書感想文 『駆け出しミステリー作家と弓矢固めに泣く女』 和泉 綾透(著)

 駆け出しミステリー作家 都並大祐もデビューから一年たち、ついに文庫化の話しがくる。もう新進気鋭とか大型新人とかの冠がついてもいいんじゃないかと思っている彼は、社会派なる旗印を立てようと画策する。シリーズ第9弾!


 冒頭、鉄道の駅にある点字ブロックの話題から”内”と”外”の概念を熱く語り始め、そこから急に文庫の表紙に月丘夕(元読モの超美人)のヌードはどうだという話に移ります。点字ブロックという比較的まじめな話から全く関係ないヌードという下世話な話に変わるので読者は混乱しそうなものですが、テンポの良さと言葉選びのおもしろさでスイスイと読めてしまいます。全体的にずっとその調子で、その結果どんな話だったか覚えていないわけですが……。本作はもうミステリ要素はほぼなく、都並大祐とその周囲の人間関係のドタバタで終始します。それでも読ませるんですよね。おもしろかったです。

エンタングルメント・マインド(Entanglement Mind)

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