読書感想文 『イヤホンの向こうで』 水谷広(著)
桐嶋彩音はいつもイヤホンを着けている。音楽を聴いているわけでも、ニュースを聞いているわけでもない。その証拠にイヤホンジャックはどこにも刺さっていない。彼女はいつも周囲の話し声をイヤホンで聞いていたのだ。ある夜、彩音のイヤホンに鮮烈な歌声が入り込んできた。彼女はその歌声に魅かれその主を探し始める。
女子高生が主人公の甘酸っぱい青春恋愛短編です。魅力的なラブストーリーには非日常的な出会いがつきものです。普通の出会いじゃダメなんです。誰しも白馬の王子様が迎えに来てくれないかなと思っているのです(笑)。このストーリーはそこのところが良く練られていると思いました。彩音はイヤホンを着けると周囲何百メートルにいる人々の話し声を聞くことができるという特殊能力を持っているという設定で、その能力が男女の出会いのきっかけになるという非日常を演出しています。物語作りの参考になりました。
インディーズミュージシャンの相沢は女子高生の彩音に好意を持って……どうなるのかは読んでみてのお楽しみなのですが……相沢君、君ね、ちょっとひどくないかい⁉ と思ってしまいました(笑)。大の大人が女子高生に手を出そうとする時点であかんやろって(笑)感情移入するくらいおもしろかったです。
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