読書感想文 『ひめとり!』 晴丸(著)
じいちゃんが死んだ。葬式の後、残された鏡谷幸八(中学三年生)は形見の角笛を握りしめて寂しさをこらえていた。助けが欲しくなったらこれを吹け、祖父はそう言って孫に角笛を託していた。両親も早くに亡くしていた彼は独りぼっちの寂しさに角笛を吹く。その直後、背後で錫杖の鳴る音が……
妖怪の姫(もちろん超美少女に決まっている)が恩返しのために恩人の孫に嫁入りするという王道の展開でスタートするライトノベルです。祖父が死んで落ち込んでいた幸八は、嫁に来た姫の胸チラと太ももチラリになにもかもどうでもよくなります(笑)。もちろんチラリズムだけでは終わりません。姫は、没落したお家再興と、逆に乗っ取りを仕掛ける一族との権力闘争に巻き込まれてしまいます。嫁を奪われてしまった主人公幸八(中学生なんですけどね)は、姫を取り戻すべく最強妖怪に挑んでいきます。非力な彼が逞しくなっていく成長の過程が見どころとなっています。また姫と幸八(二人とも成人前なのですけど)が互いを想う心情も熱くて、世間に汚れた年寄りには眩しく感じました(笑)。もちろん人間の力では妖怪に立ち向かえないので仲間に助けられながら力を付けていくのですが、そのへんのお約束の展開もワクワクしながら読みました。
両親が○○されるシーンなどありましたが全体に重くないストーリーで、少年少女の心情表現や安心の展開も考えると、対象はジュニアなんでしょう。年寄りのわたしには多少むず痒く感じるところも多くありました(笑)。年寄り的には最後の大ボスとの手打ちはちょっとどうなのよ?と思いましたが、これも悲惨な結末にならないようにとの若年層向けの配慮なのでしょうね。ジュニア向け展開の勉強になりました。おもしろかったです。
0コメント