読書感想文 『栞紐』 キタノ レン(著)
インドアな主人公は、なぜか真逆の性格の新城と親友だった。主人公は、新城とその恋人の鈴華と三人でよく出かけた。そのうち新城は鈴華と別れ、主人公の前から消えた。
陰キャの主人公が陽キャの新城に振り回される、というありがちなストーリーではありますが、謎を含んだ展開で引き込まれました。展開を想像しながら読んでいきましたが、幸いなことにわたしの想像するようなエログロ展開ではなかったので安心です(笑)。
「(僕は)はるか彼方の冥王星あたりに存在し、冥王星ほど神秘的ではなく、調査の手が入ることもなかった」
最初の方にあるこの言い回しに、「あ、これはいいな」と思いました。そしてその感覚は合っていて、最後まで一気読みしました。
最後は唐突な気がしますが、もしかしたらもう一度読み込むとその意味も分かるのかもしれません。わたしの読み込みが不足しているのかな。そう思わせるのもこの短編の凄みなのでしょう。
全般に淡々とした筆運び、即妙な比喩がうまいなと思いました。読みやすく、おもしろかったです。
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